2011年12月16日金曜日

IRCレースで勝つには? #5  IRCの特徴 4  いろんな艇種を評価する

2回目の“簡単に”でも書きましたが、《制限が少ない事》は、いろんな艇に対してレーティングを与えています。

クラッシクボート

18ftクルージング艇
ミドルサイズ クルーザーレーサー
100ft以上のMaxiサイズ
Melges32などのスポーツボート
ボルボオーシャン レーサー
40ft_IRCレーサー
クルージングボート

ごく一部の例だが、これら全部、IRCボートとして一緒にレースを出来る事になっている。
モノハル艇のほぼ全ての艇種をカバーしていると言っても良い状態。

良い点 : 幅広く、違う艇種間でレースが出来る。みんなでレースして楽しい。

悪い点 : 同じサイズでも性能の差(ボートスピード)は艇種間で大きく違う。
そして、シングルナンバーなので、極めて近いハンディキャップの値でも、
       風向風速によって艇種間で大きくボートスピードが違ってくる。
これってどーなるの?

この事は、IRCレーティングを考察する上ではとっても重要です。
次回以降で解説します。

2011年11月30日水曜日

NYYCのニューレーティングシステム

イギリスのヨット雑誌SeahorseやORCの年次会議の報告書を読むと、新しくニューヨークヨットクラブがハイパフォーマンス用のレーティングシステムを始めるそうだ。High Performance Handicap Rule (HPR)と言うらしい。担当はスチーブ.ベンジャミン氏。
特徴は
1.ハイパフォーマンスボート用でクルーザーレーサーには使わない
2.完全にオープンでブラックボックスは無し
3.有る程度の期間ルールを固定する
4.外洋にも使えるモノハル固定キール用
5.意図的に遅くしてレーティングを有利にする特徴は排除する

まだ正式な発表は無い様でどこまでが正確な情報かよく分らないけど........
NYYCは本気らしい。

2011年版ORCとIRCがジョイントする!?

ORCの年次会議がプエルトリコで有った様だ。その報告書にやっぱりORCとIRCのジョイントについての記述がある。 この1年殆ど話は進んでないらしい。理由はIRC内部の財政や法律の調整のようだ。
しかし具体的なタイムスケジュールも出てきた。簡単に言うと2012年初から本格的議論をして、2012/Novには新しいジョイント会社を正式に始めるらしい。新しいルールへのタイムテーブルは同じく2012/Novに発表される。まーどうなるか分らんけど、さっさと一緒になって欲しい。
IRC-公式ウェブサイト

2011年9月14日水曜日

IRCレースで勝つには! 第4回 IRCの特徴 3 ”レーティング委員会とオーナー組織”

レーティング対策にはあまり役に立たないかもしれませんが、IRCはイギリスのRORCとフランスUNCRの数人のIRCテクニカルコミッティーのみでレーティング算出式をコントロールしています。イギリス、フランスの数名がブラックボックス内をコントロールしています。

そして、IRCオーナーズ協会が編成され、この協会が今後のIRCの方向を示し、勧告、助言していくようです。

良さそうなシステムですが........

例えば、オーナー協会が ”リーチングかっとびボート有利にしよう” と言えば、テクニカルコミッティーがレーティングをコントロールして秘密裏にレーティングを翌年から大幅に変える事が可能です。
オーナー協会の議決権はオーナーの数によって各国に振り分けられますが、現在、イギリス、フランスで登録艇数の40%ぐらいを占めている状態です。

その影響でしょうか?どーもイギリスやフランスのビルダー、デザイナーの艇は少し有利な様に感じるのは気のせいでしょうか?

レーティング数値に “主観的な要素が含まれている” と公言しています。ブラックボックスと合わせ、レーティングシステムが検証出来ないので、疑心暗鬼になりやすいシステムです。

2011年8月20日土曜日

IRCレースで勝つには! 第3回 IRCの特徴 2 ”ブラックボックス”

ブラックボックス
“レーティング算出方法は非公開” との意味で、これがIRCの“長所”として宣伝してます。
これは“ルールチート”と呼ばれるレーティングの抜け穴を隠し、レーティング対策をしにくくする方法として採用しています。
全てが公開されているORCと対極をなしています。

しかし、欠点も有る様で........ 長所と短所を比べると以下の様になっています。

長所
1.レーティング対策が難しい。
2.必ずしも前年と同じレーティング対策が通用しない。
3.レーティングの欠点を突いた造船競走になり難い。

短所
1.各艇のレーティング証書を比較すると矛盾点がある。
2.膨大なデータを持っている一部の人(有名デザイナー)が、データを比較出来るので有利
3.“デザイナー○○は元IRCレーティング制作者の一人”だからブラックボックスの中身を知っており彼の艇は有利と言われている。
4.間違った計測データ、レーティング値入力間違い、悪質なレーティング操作、などで間違ったレーティングが算出されても、一部のレーティング制作者しか検証出来ないため、発見し難い。
5.レーティングを変えずにチューニングのために改造可能な範囲が不明瞭なため、改造しても申告しなかったり、申告を何度も繰り返したり、混乱する。
6.要らない噂が立てられ、レーティングの信用性が薄らいでいく。
7.欠点を突いたレーティング対策をすると、やはりORCiと同じかそれ以上に¥が必要。
8.ワンデザインクラスではクラスルールとの矛盾点がある。

まあ、どんな対策をしても長所と欠点は同居しますので仕方ないですが........

長所を生かしてデザイナーやオーナーの好みの艇が多数デザインされています。
プロダクション艇もデザインの幅が広がり、楽しい艇も増えました。
しかし、
特に短所1.は不評で、オーストラリアのオーナーはこれが不満でORCiも取得するようです。
短所4.も過去に例があり、信頼性の低下につながっています。
短所6.の典型的な物として“イギリス、フランス”の有名メーカーの艇は有利”との説があり、
不確かですが、その傾向はあるようです。

レーティング対策で行くとブラックボックス部分は素人では手が出しにくいのですが、
分っている範囲で少しでも公開していきたいと思っています。

2011年8月10日水曜日

IRCレースで勝つには!第2回  IRCの特徴 1 ”簡単に”

IRCは ”簡単に” が一貫してポリシーとして続いているようです。
この ”簡単に” は、一般的なユーザー(競技者、レース委員会、計測員など)に対してであり、専門的にはレーティング算出式がクローズですので、簡単にはいかない面もあります。
まあ、見た目は、かなりシンプルで昔のIORより簡単です。
IRCの大きなセイルスポイントとしていますが、........裏返して欠点でもあります。

”簡単に” を実現している大きな柱として4つの事があります。

 1. 1つだけのハンディキャップ係数(シングルハンディキャップ&Time on Time)
 2.計測ポイントの少ない。
 3.制限も少ない。
 4.Max乗艇人数(Max体重)は、変えられない。

IRCを普及させる意味で大きな特徴である上記4つのポイントは、IRCレーサーに最も重要な要素で
これを逆手にとって勝利を引き寄せる事が可能です。
そして勝利を諦める事も重要だと教えてくれます。

長所、短所並べてみると.

長所
1.レース成績が、分かり易い
2.運営が楽
3.ルールの違反や間違いが起こり難い。
4.制限が少ないためより多くの艇種にレーティングが与えられる。

短所
1.特定の艇が特定のコンディションで勝つ事になってしまう。
2.オーナーにより大きな負担
3.ワンデザインボートはクラスルールとの違いが生じる。
4.複雑なセイル選択になりやすい。
5.乗艇人数(体重)が、変えられない。
6.計測知識を知っている艇とそうでない艇では、大きな差が生じる。


欠点や逆手に取る方法は、後々1つ1つ検証して公開しようと思っています。

2011年8月9日火曜日

IRCレースで勝つには! 第1回 IRCは抜け穴も見つけやすい。

長い長いお休みの後、突然ですが最近のレースへの不満も溜まり、何でこうなるのか??が多すぎるので一度IRCレーティングを考えてみます。

日本のオフショアレーサーのレーティングで代表的なのはIRCとORCが有ります。ORCはヨーロッパでは人気が高い状態ですが、日本ではここ数年IRCが盛んになっています。そこで今回から不定期にIRCレースで勝てるレースボートに必要な条件など、探っていこうと思います。

ORCは非常に複雑でヨットデザインの素人にはORCで勝つための要素を見つけ出す事は難しくなっています。一方のIRCは単純な決まり事も多く、素人でも明らかに「これをやれば有利」と言われる要素は幾つか見受けられます。すでに多くの知られている要素から不確定だが”たぶん有利”と思われる事まで色々調べ書いてっちゃいます。

もちろん、真偽のほどは自分自身で確かめて下さいね。”言う通りにやったけど速くならない”って言われても困りますので、その辺は大目に見て下さい